《 あの日Ⅱ 》
『 もっとケアルを! 』
いや...だからなんでそれに俺が行かなくちゃいけないんだよ。
白魔道士の派遣クエストだろ?俺、闘士なんだけど。
...何...ジョブチェンジすればいい?
いや、そりゃそぅだろうけどさ;
俺、魔道士系は得意じゃないんだって。MP低いの知ってるだろ?頼むよモンブラン...
いくら人が居ないからって...俺を出すのはやめといた方がいいよ、失敗するから...。
大体なんで、ラウルとネディが居ない時にそんな仕事引き受けるんだよ?!
人が足りないときにそんな仕事受けなくたっていいだろ!考えろよっ。
...え...何...さっさと行かないと除吊?
はっ、そんな脅しに誰がびびるか。悪いのはそっちだろモンブラン。
...なんだよその眼は...。あーもう解った解った、解ったって。行けばいいんだろ。行くよ。だから泣くな!;
んーじゃぁ準備が整い次第、出発するから。任せろって。
引き受けた以上、絶対成功させて帰ってくるからよ。
..........という訳で...。
今こうして、白魔道士の格好でカドアンの街を歩いてるんだが。
まぁ...ランクもそこまで高くなかったし、大丈夫だろう。
ローブも久しぶりに着たな。歩きづら...。だから魔道士って嫌なんだよな。杖とか邪魔だし。
もーさっさと仕事終らせて闘士に戻ろう。
ぐいっ!
.......ぅぁ!
あっぶねーな!!誰だっローブの裾踏みやがったのは!!!
転ぶ所だったろうが!!通りの真ん中で!!
だからローブは嫌なんだって;危なっかしい;
とにかく誰だ!
「なンだ?お前。何ガンつけてンだょ《
「.........。《
ごめんなさい。ちょっと調子乗ってたんです。許してください。
...って誰がいうか!まったく!
人のローブの裾踏んづけといてガンつけてんなとか言える立場か!!!
いい加減足上げろよ!!動けねぇだろうが!!
「いや、足もと見てから言えよ《
「あぁ!?《
「ローブ踏んでんだよ。さっさと足上げろ《
「...なンだお前...エラッそーな口の聞き方してンなよ。頼む時はもっとこう、あンだろうが《
「.....は?意味わからん。悪いのどっちだと思ってんだよ。とにかく足上げろよ。これから仕事なんだから《
喧嘩売ってんのかこの野郎。俺を誰だと思ってる。えぇ?
こういうのに会った時はとにかく一方的に謝って逃げるのが一番良いってモンブランは言ってたけど、
俺は無理だよモンブラン。悪くないのに謝るのは。...餓鬼とかいうなよ?
でもこのままだとちょっと厄介な事になりそうだ。っていうかなるよな。
しょうがない、めんどくさいから適当に謝るか...って...ぅゎっ!?
「あァそうか、これから仕事か。じゃぁその前に、準備運動していけよ《
だァァ何すんだトカゲ野郎!!首つかむなっ...苦しいだろうが!!
それに今何つった!!?喧嘩売ってんのか!!? ...いや、喧嘩売ったのって俺か? ;
もうどうでもいいや。エンゲージして適当に倒しときゃいいだろこんな奴。
相手してやるよ。どっからでもかかってこいってんだyo。
「.....別にいいけど、言ったのはお前だからな。後悔しても知らないぜ《
「エンゲージが終るころにもう一度ソレが言えるかどうかだな《
ピピーーーッ。
いつの間に居たんだよジャッジ!!(びっくりした...いきなり違反したかと思ったぜ;)
よし、久々に1人でエンゲージだ。
相手はガラ悪い&超腹立つだけのバンガ1人だけだし、まぁ一瞬で終...
「これより、白魔道士対スプロムナイツのエンゲージを開始する!《
えっ...クラン??...本当だ!!いつの間にか増えてる!!
なっ...仲間居たのかよこの野郎...!卑怯だぞ...。
これじゃあ俺が完璧に上利だ。でもいまさら退けないしな...。
まぁ...片っ端から勢いで倒していけば大丈夫だろう。
「オラァ!!エンゲージは始まってンだぜ!!《
「わかってらァ!!《
ガキィ!!という音と共に剣と剣がぶつかり合う...じゃなくて、剣と杖がぶつかり合った。
「.....そっか!!?今俺、白魔だった!《
今更か!何で気付かなかったんだ...。我ながらアホだとしか思えないな。あぁ情けない...。
もうこうなったらやけくそだな。自嘲なんかしててバンガの攻撃なんかまともにくらったら立ち上がれなくなりそうだしさ。
「おい、さっきの勢いは一体どこにいったンだ!?《
「白魔だと思って余裕こいてんじゃねーぞ!《...白魔だって強い奴は強いんだぜ?
相手は5人、ホワイトモンクとウォリアーの編成だ。1人ずつ慎重に倒していけば間違いなく勝つ。
白魔とはいえ、闘士の技くらいなら使えるしな。攻撃力はいつもより劣るけど。
いつのまにかエンゲージの周りに人垣ができてる。てめェら俺の見方だろうな!?あァ!?
どっちだろうとこうなったら、絶対負けるわけにはいかない。
エンゲージ開始から20分が過ぎた。
計算通りだ。あと2人、同じ方法で倒せばいい。
にしても、1人を倒すのにいつもの倊の時間がかかる。しかもなれない格好のせいか、いつもよりはやく息が上がる。
スピードも足りない。一発で決めるのが難しい。防御力もたいして無いのにあっちこっち殴られたんで体中痛い。
白魔なんて嫌いだ!もう一生やらないからなモンブラン!!
だけどこの状況はなんとかしないといけない。
杖で殴ったり剣を受けとめたりするのは止めたほうがよさそうだった。杖じゃ殴ってもあまり威力ないし、第一これから仕事に行くのに杖を折ったんじゃ話にならない...。
「オラ小僧!まだ2人、残ってンだぜ!?《
...こいつらもよく、5:1で戦おうとか思うよな...。
とはいっても、特に特殊な能力を持ってる奴らじゃないはずだ。とにかくよけて、隙を見つけたら一気に...
「!?《
なんだ!?なんで動けないんだよ。別にローブが何かに引っ掛かってるわけじゃ.....
.....っう!
がつっ!
.........どさ。
「おい、やったぞ《
「おぅ、やっぱり考えてみるもンだな《
「白魔のくせに、いきがって3人も倒してくれやがって《
「素直に謝れば、そのまま逃がしたってンだ。馬鹿だな。こうやって痛い目みないとわかンねーのか!《
...痛... ...血がすごい勢いで流れてる...気がする..........。
好き勝手言ってんなお前等...思いっきり切り裂いてくれやがって...。
畜生、挟み撃ちにされるとは思わなかった。しかもまた、ローブの裾踏みやがったな。
「立てよ。まだ動けンだろ、荒くれ白魔《
ローブを摑んで無理やり立たされる。荒くれバンガに荒くれ白魔なんて言われたかないぜ。
真っ白なローブと石のタイルが真っ赤に染まる。思ったよりこれは...深手だった。
あのな、横顔の上の方っていうのは、なかなか血が止まらないんだぞ!!(←重要)
こうなったら、これ以上エンゲージを引き伸ばしてはいられない。今ちょうど目の前に2人固まってるんだ。
絶対負けるかこんな奴らに。
「波動撃!!《
今出せるスピードを全部出して後ろに数メートル下がり、今出せる力を全部使って俺は左手を突き出した。
イライラしていたのが全部その一撃に乗ったっていう感じに、波動撃は2人のバンガの間で炸裂し、全ての敵が全滅した。
ジャッジから白い光が飛んで、エンゲージ終了を告げる笛の音が響く。周りの人垣から歓声が上がる。
あぁやっと終った...。とにかく勝てて良かった。
バトルを見届けると人垣はくずれて、またもとの街に戻った。くそぅ...見世物扱いかよ。
そうだ、早く仕事に行かないと。もうちょっとで忘れるとこだった。
ぐ ら
え... と思った瞬間、目の前が真っ暗になった。
畜生、血を流しすぎた。なんて日だ今日は.....。ぅあっ具合悪いっ...
なんとかしないと...。杖どこにやったっけ?...あっあった。しゃがんでても上手くケアルラかけられるかな。
...俺、今どっからどう見ても可哀相な人にしか見えないよな...。
(エメット、すごく惨めな気持ちになる の巻)
『ケアルラ』
とつぜん、真っ白なひかりに包まれた。だ、誰だ?
ちゃんと周りが見えるようになってから顔を上げると、目の前に茶髪の白魔が立っていた。
あ、この人がケアルラかけてくれたのか。
「あ.....ありがとう《
「.....ど......ど......どういたしまして《
な、なんだよ、その間は。でもとりあえず助かった。あぁ良い人も居るんだな...。
「み、見てたよ、さっきのエンゲージ...。すごいっ...て、本当にすごいなぁって...思った《
「あ?あー、あぁ...闘士技使えたからさ、なんとかなっただけだよ。俺、通常は闘士だから...クランの仕事で《
「そっか、クランメンバーさんなんだ。こんな白魔さんもいるんだなぁ~って、思ったよ。あはは《
「俺みたいな白魔いたら怖いって。...でも、白魔ってエンゲージでは先に倒されたりして、どうしてもなめられるだろ。
こうやって闘士技覚えてたら反撃できるのにって、エンゲージに出るたびに思ってたんだ《
「そうかぁ、そうだよねぇ。カッコ良かったもんなぁー白魔が戦ってるのって。僕も覚えようかな...《
「あぁ。...そういえば、何かお礼したいんだけど...《
「えっ!いぃよいぃよ~。戦う姿見せてもらったし!《
「でも...《
「あっ、そうだ。僕、クランに入りたかったんだ。強いクランないかなぁって、ずっと探してて。なんとかならないかなぁ《
「そうなのか?うちのクランなら、紹介するよ。いずれ最強になる予定のクランだぜ《
「本当?紹介してくれるの?!やったぁ!《
「入れるかどうかはリーダーが決める事だけどな。でもほぼ確実に入れると思うよ《
そして、俺たちは2人で仕事に行った。
実際『もっとケアルを!』のクエストを成功させたのは「セドリック《だった。
まだクラン入りもしてない奴に仕事させるのもどうかと思ったけど、まぁ、仕方ない(何が)
思った通り、セドリックは余裕でクラン入りした。大体、1軍のメンバーが紹介した人はモンブランに確実に認められる。
セドリックはクランメンバーになってから闘士技を身に付けて、バンガの戦士とも互角に戦えるようになった。
とにかく俺があの日、白魔になって悪い事ばっかじゃなかったってことだ。だけどもう絶対やらん。
そしてある日...
「ねぇエメット、波動撃教えてよ...《
「ぅわっびっくりした、セドリックか《
「波動撃だけ上手く撃てないんだよぅ。僕もあの時のエメットみたいにバンガふっとばしてみたい《
「だめだ!もうお前は闘士技覚えんな;《
「反撃技覚えたら便利なのにって言ったのエメットでしょー?《
「いゃ、それは言ったけどな、そんな白魔いたら怖いって、とも言っただろ《
「いいよ、僕怖い白魔で《
「俺は嫌だぞ、怖い白魔なんて・・・;カロ姉が白魔になったときで充分だ《
「じゃぁいいよ、波動撃は自分で練習して強くなるから。それでいつか・・・《
「何になるつもりだ、今度は《
「・・・あの日のエメットになってみせるよ!《
END