マーシュ追憶


《 雪の降る街 》


「みんな!外見てみなよ!!」
早起きのベルトランの声。僕に続いて、クランのみんなが次々と眼を覚ます。
僕が眼をこすりながら窓の方に行ってみると、そこには銀色に光る朝の街の姿があった。
「昨日の夜、雪が降ったんだね」
まだちらちらと降り続けている雪を眺めながら、僕はイヴァリースに来た日のことを思った。


雪が積もった校庭。雪合戦の授業だった。
いつもミュートをいじめている子たちが、やっぱりミュートにばっかり雪玉をぶつけて、
石の入った雪玉があたって、リッツが怒って、けんかになって・・・
先生が止めに入って、学校が終わって。
・・・僕の家に2人が遊びに来て、ドネッドが珍しく楽しそうで、


不思議な本が、開かれて。


雪の降る夜、世界は変わり、異世界にひとり立った僕は、モンブランに助けてもらってクランに入った。
全てが夢のような世界だった。見るものも、聞くものも。・・・ただ、
いじめられていたミュートも、いつも助けてくれたリッツも、こっちの世界では、僕の敵だった。


この雪は、向こうの世界と同じものかな。
静かに降る雪は、冷たくて、淋しくて・・・。


「何してんの、みんなで・・・・・」
今やっと起きたエメットが、窓のところで外を眺めるみんなを、いつもの寝起きで不機嫌そうな顔で見ている。
「雪が降ったんだよ」
僕が言うと、エメットもまだ眠そうな眼で、ガラスを通して降る雪を映す、窓の方をみた。


「さて!」


モンブランの声で、雪に見とれていたみんなは、我に返ったように窓から眼を離した。

「今日も一日頑張るクポ!マーシュが、元の世界へ戻れるように」

「そうだね!」

同意したみんなが、いろいろと仕度を始める。
「・・・ありがとう」
僕もそう言って、みんなに続いて仕度をしながら、

「雪の降る街へ、必ず戻ってみせるよ」

真っ白な空に、そっと誓った。


END